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第107話 昔話と更なる頼み事

Penulis: 黒蓬
last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-06 06:00:23

「コクテンシンがまた出てきたのかい。なるほど、そりゃアイツが戻るわけだ」

「ヤミネラさんもコクテンシンのことを知ってるんですね」

「そりゃもちろん。何しろあいつにその名を付けたのはアタシらなんだからね」

「ヤミネラさん達が?」

「あぁ。聞いたと思うけど、昔あいつが人里近くに降りてきた時に討伐依頼が出されてね。あと一息というところで取り逃がしちまったのがアタシらのパーティだったのさ。苦い思い出さね」

話ながらその時のことを思い出したのか、彼女は悔しそうな表情を浮かべた。

「ということは、ハクシンさんもそのメンバーの一人だったんですか?」

「あぁ。あいつが一番取り逃がしたことを悔いていたからね。今度こそは自分の手で片を付けたいんだろうさ。・・・にしても、そうか。ちょっと遅かったね。まぁまた現れる保証もなかったし仕方ないかね」

独り言のようにそう言いながらヤミネラさんは先ほどの白木の箱に目をやった。

「あの刀が何か関係あるんですか?」

「なに、単純な話さ。あの時アタシらの武器じゃあいつに致命傷を与えきれなかった。その時に思ったんだ、アイツ相手にそう何度もチャンスは訪れない。そのチャンスで確実に致命傷を与えられる武器が必要だってね。幸いというべきかパーティメンバーにはそれぞれ武器作りの才能があった。だから、各自の最高の環境で最高の武器を作り上げようって話になったんだ。あれはそのための素材ってわけさね」

なるほど。だから遅かったという話か。その武器が完成する前にコクテンシンはまた人里近くに姿を現してしまった。でもそうなると・・・

カサネさんも俺と同じことが気になったらしくヤミネラさんに聞いた。

「あの、ハクシンさんはそれを倒しに戻ったんですよね?大丈夫なんですか?」

「さてね。あのコクテンシンが完全に回復したのか、それとも何かしら後遺症を残しているのかにもよるし、他の冒険者次第なところもあるからね。まぁ、アイツが向かったんなら悪くても拮抗状態くらいにはなるだろ。あの刀を使わずにあたしに託したのはその間に完成させろってことなんだろうね」

「え!?それじゃ、俺達とのんびり話してる場合じゃないんじゃ・・・
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